TOP2005年記録

アブミ不用の幻の烟ケ滝

中央アルプス/片桐松川 (沢登り)

山口

【日時】2005年7月23日〜24日
【メンバー】栗原(L)、鈴木、山口


 水曜日の集会で行先の決まっていなかった3人が一緒に行くことになった。当初戸隠の裾花川という案があったが、最終的に栗原リーダーの判断で片桐松川ということになった。前夜のうちに松川インターまで行き仮眠したが、道路沿いでうるさくあまり良く眠れなかった。翌朝、石井君のアドバイス通りJR飯田線上片桐駅から真っ直ぐ西に向かった鳩打峠へ車を進める。峠に車を置き、ヤブを少し漕いで片桐松川に注ぐ小沢を下降する。30分程で片桐ダム沿いの林道に下り立つ。林道をしばらく歩き、ゲートを過ぎトンネルをくぐり、大きなえん堤をハシゴで越えてから入渓する。
しばらく河原を歩くと左岸から白羽毛沢が合流する。大岩を越し、幅広のナメを登ると前方にビルディングのような大きな岩の積み重なりが見えてくる。角ばった大きな岩の間を縫って簡単に上に登ると、傾斜が緩んだ所にハーケンが打ってあり、何でこんな所にハーケンがと疑問に思っていると、鈴木さんがここが烟ケ滝20mではないか、と言うので納得する。言われてみれば滝下の右岸にルンゼが入っていて、その上の岩峰がそっくり滝の上に崩れ落ちたようである。石井君が苦労してアブミで越えたという岩は跡形もなく、栗原さんの持ってきたアブミも無用の長物と化してしまった。
 しばらくゴーロが続き左岸からイワタル沢が合流すると大滑八丁の始まりである。さすがにこのゴルジュの中は昔と変わっていないようで、左岸を巻いたり、へつったり、トラロープを頼りに登ったりとなかなか楽しめる。出口近くの3段20m滝は栗原さんが左岸のリッジにワンピッチを伸ばすが、濡れて滑りやすく緊張した。これを抜けると大島沢の出合であるが、再びゴーロ状となる。左岸から池ノ平沢を合わせると再びミニゴルジュ状となるが、この奥の5mチョックストン滝はチムニー登りでもどうしても登れず、20mほど戻って左岸より大高巻きになる。この先沢がガレガレとなってくると左岸に大崩壊地が現れる。ゴーロの中の滝を2〜3越えると左岸に整地不用の絶好のテン場があり、今日中に紅葉滝を越えておきたい気持ちはあったが、もう先はそんなに長くはないだろうということで、本日はここまでとする。

 翌朝出発すると直ぐに紅葉滝20mである。ここは左のルンゼを登り中間の尾根を乗っ越して滝上に出る。やや荒れた沢身の中、右から小松沢、念丈沢を合わせると20m程のナメ滝が続くようになる。全体にナメ状のようであるが、傾斜の緩い所はガレで埋まっている部分が多いように思える。最後は急な崩れやすいガレを登り、10分程のヤブ漕ぎで念丈岳から本高森山への縦走路に出る。30分程で念丈岳の頂上であった。念丈岳から本高森山へは地元の念丈倶楽部というのが刈り払いを行っているようである。また大島山から片桐松川の堰堤付近に下る道も整備していて、鳩打峠からぐるっと一周出来るようにしているようである。
 下山はエアリアのコースタイムで5時間ほどかかるようなので、早々に出発する。途中雨がパラパラと落ちてくるが、本降りにはならず、時々日も差してきて蒸し暑いことこの上ない。下山路からちょっと外れた鳩打峠近くに小八郎岳というのがあって、エアリアによるとここに片桐小八郎記念碑というのがあることになっているので、登り返しになるが寄ってみる。小八郎岳の頂上からは眼下に伊那谷の大島町周辺が望め、天気が良ければ南アルプスも眼前に望めそうな展望の良い所である。地元の人達はよく登っているような感じである。片桐小八郎の碑は大きな石に片桐小八郎之霊と記されているだけで何 の説明もない。下山後たまたま鳩打峠の駐車場にいた地元のオジさんに聞くと小八郎は地元片桐城の城主だった人で、その碑はそのオジさんのお祖父さん達が建立したのだそうである。

 片桐松川は全体に崩壊が進んでいて、ガレの部分が多い。日本百名谷にあるような美しい谷を期待して行くと期待外れに終わってしまうだろ。ただガレで埋っていない所はまだまだそれなりに美しいし、大きな滝もあり、中アの一泊の大きな沢と思って入渓すれば、そこそこに楽しめる沢だと思う。

【行程】
7/23 鳩打峠(7:30)
   〜立ケ沢橋(8:00)
   〜イワタル沢出合(10:20)
   〜入渓(9:45)
   〜大島沢出合(12:15)
   〜BP(14:30)
7/24 BP(6:55)
   〜念丈沢出合(7:40)
   〜稜線(9:35)
   〜念丈岳(9:55/10:05)
   〜小八郎岳(13:20)
   〜鳩打峠(13:55)
【地図】安平路山